妊娠中に歯医者に行っても大丈夫?
妊娠中の歯科治療は、母体やお腹の赤ちゃんへの影響が心配ですよね。ただ、だからといって症状を我慢したり、お口の悩みを一人で抱え込む必要はありません。妊娠中または妊娠の可能性がある場合には、その前提の上に立った歯科治療を行うことができます。妊娠中または妊娠の可能性がある場合には、必ず事前にお申し出ください。
お母様や赤ちゃんへの健康・安全に最大限配慮した診療を行います。歯磨きのときに吐き気がするなど、妊娠中特有の症状への対処法・予防法などもお伝えすることができますので、お身体に無理のない範囲で、お気軽にご相談いただければと思います。
どんな治療が受けられるの?
「妊娠中も可能な治療」と「避けた方がいい治療」を下記の表でご紹介します。
治療が可能な時期につきましては、あくまで目安です。この時期であれば通常は無理なく治療を受けていただけますが、それ以外の時期に強い症状が現れた場合にも我慢せずにご相談ください。できる範囲での治療を、患者様のご同意を得てから実施します。
可能な歯科治療 | 治療が可能な時期 |
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虫歯治療 | 妊娠5~7か月頃 |
歯周病治療 | 妊娠5~7か月頃 |
歯石取り・クリーニング | 妊娠直後~7か月頃 |
避けた方がいい歯科治療 | 理由 |
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ホワイトニング | 妊娠中のホワイトニングによる母体・胎児への影響が不明であるため |
矯正治療 | レントゲン撮影が必要になる(※)・セルフケアが難しい・炎症リスクが高いため |
※レントゲン撮影のみよる母体・胎児への影響はないとされていますが、他の理由と併せたときのリスクを考慮し、矯正治療は避けるべきと判断しております。
妊娠中の歯科治療で3つの心配
1、レントゲン撮影
歯科で使用するレントゲン撮影は、顎まわりの撮影に留まります。
被ばく量もごく僅かであり、防護エプロンを使用すれば胎児への影響はないとされています。
2、麻酔
歯科で使用する麻酔は一般に局所麻酔であり、少量であるため、胎児への影響はないとされています。
なお、麻酔成分が胎盤を通過することはありません。肝臓で分解され、尿と一緒に排出されます。
むしろ、痛みを我慢するストレスの方が、胎児への影響が大きいと言われています。
3、お薬
抗生剤は、胎児の影響に健康及ぼすことがあるため、原則として使用しません。
鎮痛剤は、痛みを我慢することのストレスが大きい場合に限り、安全性の高いものを使用します。
妊娠中に歯が痛い!妊婦さんが起こりやすいお口のトラブル
妊娠中に特に起こりやすい症状・口腔トラブルがあります。
虫歯や歯周病
妊娠中は、お口が虫歯や歯周病が発生・進行しやすい環境になります。
妊娠性歯周炎
ホルモンバランスの変化、つわり・吐き気に伴うセルフケアの困難、食事量・回数の増加などによって起こる歯周炎のことを指します。
親知らず
妊娠中は、歯茎が炎症を起こしやすい状態です。これまで問題なかった親知らずが、妊娠を機に痛みだしたり、歯茎が腫れたりといったことが起こります。
妊娠中にお口のトラブルを起こすのはなぜか?
妊娠中は、女性ホルモンの分泌量が増加し、お口の中で炎症が起こりやすくなります。唾液の分泌量が減ることで、お口の自浄作用が低下します。さらにつわりによるセルフケアの困難、食欲増進による食事量・回数の増加などが加わります。これらさまざまな要因が重なり、虫歯や歯周病、さらには親知らずの痛みなどの口腔トラブルが起こりやすくなります。
「妊娠中=口腔トラブルが起こりやすくなる」ということを予め知っておけば、妊娠の予定がある段階から定期検診に通い始めたり、予防処置を受けたり、ご自宅でのセルフケアに努めたりと、さまざまな対策を立てることができます。妊娠中の歯科治療は可能ですが、歯科治療が必要にならないように予防に取り組むことが第一です。
妊娠期間中に「お口のトラブル」に悩まされないよう、妊娠前から口腔環境を整えておきましょう。
自宅でできる口腔内のケア
フッ素・キシリトールの活用
フッ素配合の歯磨き剤や洗口液、キシリトールガムを活用し、虫歯・歯周病予防に努めましょう。
どうしても歯磨きがつらいときには「すすぎ」だけでも
つわりなどでどうしても歯磨きが難しいときには、水やお茶でお口をすすぐだけでも洗浄・除菌効果があります。
規則正しい生活、ストレス解消
規則正しい生活、ストレスの解消によって、免疫力の向上が期待できます。お口の炎症も起こりにくくなりますので、歯周病の予防にもつながります。