ポカン口とは?
テレビを見ているとき、ゲームをしているとき、お子さんのお口がポカンとあいていることはありませんか?
その様子は実にかわいらしいものですが、年齢を重ねるにつれ、どうしても「だらしない」というイメージに変わってしまいます。
また、見た目の問題より重大なのが、歯並びへの影響です。舌癖や口呼吸を併発していることも多く、それらの改善が必要です。
ポカン口を起こす「舌癖」の原因
ポカン口を引き起こす「舌癖」とは、舌が正しい位置に収まっていないことなどから、その舌で前歯を触る・押すといった癖のことを指します。
なぜ、舌癖は起こってしまうのでしょうか。
離乳食の与え方が悪く唇を使わない
離乳食を与えたとき、食べ物の乗ったスプーンを唇で挟み込み、「パクッ」と食べる練習ができていないと、舌を前に出す癖がつくことがあります。離乳食は、しっかりと唇を使って食べる、しっかりと噛んで飲み込むことが大切です。
指しゃぶりが終わらない
指しゃぶりは、4歳頃にはやめさせる必要があります。指をしゃぶることで前歯が傾き、その隙間が気になって舌で触る癖がつくことがあります。
乳歯の前歯が早期に抜ける
重度の虫歯などで乳歯の前歯があまりにも早く抜けると、永久歯が生えてくるまでの期間が長くなり、抜けたところが気になって舌で触る癖がつくことがあります。
慢性的な鼻づまり
アレルギー性鼻炎などで鼻づまりが続くと、口呼吸になりがちです。口からの空気を通りやすくするため、舌の位置が後方へと下がってしまうことがあります。
ポカン口の原因と改善方法(治し方)
ポカン口の原因によって、その改善方法は異なります。
お口周りの筋力不足
口周りの筋肉が十分に発達していないと、常に口を閉じることができずにポカン口を引き起こします。ポカン口でいるとさらに筋肉の発達が遅れ、またポカン口が悪化するという悪循環に陥ってしまうこともあります。
改善方法
マウスピース型の取り外し式の矯正装置「マイオブレース」の使用によって、口周りの筋肉を鍛えることができます。「MFT(口腔筋機能療法)」とういトレーニングの併用で、より高い効果が期待できます。
また、「あー」「いー」「うー」「べー」のお口で口周りの筋肉を鍛える「あいうべ体操」も有効です。
歯並びが悪い・口が閉じにくい
出っ歯、受け口、開咬など、すでに歯並びの乱れが認められる場合、物理的な問題も加わり、口が閉じづらくなることがあります。
改善方法
矯正装置を使った矯正治療が必要になります。
お子さんの場合は、急速拡大装置、拡大床、マイオブレース、ワイヤー矯正といった装置を使用します。
舌が短い(舌小帯短縮症)
舌の裏側の根元から伸びる“筋”を「舌小帯」と呼びます。この舌小帯が先天的に短い(舌小帯短縮症)と、舌の動きが悪くなり、筋肉を十分に発達させることが難しいことがあります。
改善方法
舌小帯を切除する治療によって、舌の動きの自由度が高まります。その後、舌を含めた口周りの筋肉を鍛えれば、ポカン口の改善が期待できます。
アレルギーなど慢性的な鼻炎
アレルギー性鼻炎などによって慢性的に鼻が詰まっていると、口呼吸となり、舌の位置が後方へと下がってしまう原因になります。口周りの筋肉が鍛えられず、ポカン口が起こりやすい状態となります。
改善方法
鼻の疾患を耳鼻咽喉科で治療しましょう。鼻詰まりが解消できれば、鼻呼吸への移行が可能です。口周りの筋肉を鍛え、早期の移行を目指します。
口呼吸の癖がついている
鼻、口周りの筋肉に問題がないけれど、口呼吸が癖になってしまっているケースです。
改善方法
意識して鼻呼吸をするように指摘したり、ドラッグストアで売られている「鼻呼吸テープ」「鼻腔拡張テープ」を使用するなどして、鼻呼吸への改善を目指します。
鼻呼吸テープとは、就寝中にお口に貼って鼻呼吸を促すものです。鼻腔拡張テープとは、鼻筋に垂直に交わるように貼り、鼻腔を広げることで鼻での呼吸を楽にするものです。
お口ポカンを防ぐトレーニングや正しい舌の位置
お口ポカンを防ぐ「舌の正しい位置」を意識しよう
安静時の舌は「舌先が上の前歯の裏側にあり(前歯とは触れない)、舌の表側が上顎にくっついた状態」であるのが正常です。
正しい位置を意識し、少しずつ改善していきましょう。
ポカン口を予防するトレーニング
ポカン口を予防するトレーニングには、以下のようなものがあります。
すでにポカン口が認められる場合に、その改善の一環としても活用できます。
MFT(口腔筋機能療法)
ご自宅でも取り組んでいただける口周りの筋肉のトレーニングです。
取り外し式のマウスピース型の矯正装置「マイオブレース」を使用しながらMFTを行うことで、ポカン口や歯並びの予防・改善におけるより高い効果が期待できます。
あいうべ体操
「あー」「いー」「うー」「べー」のお口をつくり、口周りの筋肉を鍛える体操です。10回を1セットとし、1日3セットを目標として毎日継続します。
お子さんでも楽しみながら取り組みやすい方法です。
ガムトレーニング
ガムを口の中で丸める・伸ばすトレーニングを行います。
遊び感覚で取り入れやすいトレーニングです。虫歯予防のためにも、キシリトール入りのガムを使用しましょう。
風船トレーニング
風船を膨らませることで、口周りの筋肉を鍛えます。お祭りなどで見かけるピロピロ笛でも構いません。
こちらも、遊びながら取り組みやすいトレーニングですね。
ベロ回し
舌を前方に突き出し、唇の縁に沿うようにグルグルと回すトレーニングです。
特に舌の筋肉が鍛えられます。